第35話「いよいよ岡山にやってきた!」
「さあ、ラッキー! いよいよ僕の地元・岡山の珈琲物語に突入だよ! 長かったが、とうとう地元まで辿ってきたタカシは少々興奮ぎみにラッキーに話しかけた... 「............?............?*+』<...........」 「えっ...?」 「..................................................................」 「なに...?」 「記憶にございません!」 「ええぇ〜っ...?」 「いや〜、わての記憶装置には岡山というデータは、な〜んも入ってませんわ。 「ことやろな〜...って、なんとかならへんの?」 「そこがハイテク機器のつらいとこやがな〜。ないっちゅうもんは、ほんまにな〜んにもありません!」 という訳で、ここからは、タカシが実際に足で稼いだ さてさて、岡山のそして倉敷のコーヒーの歴史を紐解
<岡山の古そうな喫茶店に入って聞いてみようかなあ〜? ひとり思案してみても、さっぱり???のタカシだった。 「こういうときはやっぱ図書館やで〜!」と、ラッキー。 「そりゃ〜そうだ。やっぱ、今の喫茶店に入っても解る訳ないよね〜。よしっ、図書館に行こう!」 こうして私とラッキーは、岡山県立図書館へ向かったのでした。 岡山城の近く、城下交差点から県立美術館の裏手に入ったところに県立図書館はある。 <まっ、空いてる訳ないか...> そう独り言をいいながら近くの駐車場を思い浮かべてみた。 結局、岡山城の外堀沿いにある路上駐車場に止めることにした。 <気持ちいい〜!> 昼前の陽射しが、冷たくピンと張り詰めた空気を少しずつほぐしている、そんな日だった。 2階の入り口から入ってすぐ右手に郷土資料コーナーはあった。 かなりの蔵書があったが、目指す目的にかなう本はなかなかみつからない。 <このままじゃ〜いくら時間があったって足りりゃ〜しないや、聞いてみようか? さんざん迷った挙句、決心して係の人に聞く事にした。 「すいません...コーヒーの事に付いて調べているんですけど....ちょっと伺ってもいいですか?」 「はい、どんなことでしょうか?」やさしい声で対応してくれたのは若い女性だった。 「あの〜、岡山の人のなかで一番最初にコーヒーを飲んだ人を捜しているんですが...なにかそんなことが解る文献はないでしょうか...?」 「最初に飲んだ人ですか...? ちょっとお待ちください」 そういうと、少し奥の中年の男性になにやら相談をしてくれている... カウンターにいるタカシの方へやさしい笑顔でその係の男性が近づいてきた 「最初に飲んだ人ですか...はっきりとそう書いてあった訳ではないんですが、以前洋学者の中で岡山の学者がコーヒーについて何かを書いていたと聞いたことがありますもんで、ちょ〜っとまっとっていただけますか?調べてみますんで...」そういいながら、奥へと消えていった。 気が付くと最初に尋ねた女性もあれこれテキパキと何やら捜してくれている。 <ボクの気紛れにこんなに一生懸命付き合ってくれて、申し訳ないようなうれしいような... もしかしたら、何か解るかも...私の期待は大きくなっていったが、時間と共にまた小さくなりかけていた。ちょっと...と言ってくれたのだが、もうかなりの時間がたっていたからだ。 「いや〜、大変お待たせしました。やっぱり岡山の人でしたよ。宇田川榕庵いう人で、ほらここに...」 満面の笑顔とともに一冊の書物を手にして係の男性が帰ってきた。 『近代科学をひらいた人々』-岡山の洋学者-岡山県立博物館編- 書物の名前はこうだった。 『宇田川榕庵は寛政10年(1798年)生まれ。 「19歳ということは、1816年か...。この時には宇田川榕庵はコーヒーを本当に飲んでいたんでしょうか?」 「いやぁ〜そこまでは私にゃ〜わからんです。 「この「哥非乙説」という解説書はここにないんでしょうか? 「津山藩おかかえの医師として仕えていた宇田川家の一人です。 そう言いながらメモ紙に「津山洋学資料館」と電話番号を書いて手渡してくれた。 「本当にありがとうございます。行ってみます。 本当にうれしかった。すごいヒントが見つかったのだ。コピーを受け取り帰ろうとしたとき... 「あのう...これなんかも何かの役にたちませんでしょうか?」 最初に対応してくれた女性が一冊の本を手渡してくれた。 『岡山始まり物語』 岡長平著 「ちょっと見せてください...」 ラムネ、アイスクリーム、生ビール、岡山で最初に登場した頃の記録が非常に詳しく楽しく綴られていた。そして、バターと練乳、コーヒー.... <あった、あった、岡山の地で最初にコーヒーを飲んだ人、どうやってコーヒーを手にいれたのか、いつ頃の話なのか...ぜ〜んぶ書いてある。> 私はあまりの興奮に思わず声を出しそうになりながら一気に目を通した。 「ありがとうございます。これ欲しい所全部コピーさせてください。」 予想以上の大収穫を手にして図書館を出た。もう3時間近くも図書館にいたことになる。 <本当に親切にしてもらったなあ〜。それにこんなに収穫もあったし、次の目的地も決まったし。 少し強くなった心地よい陽射しを浴びながら駐車場にルンルン気分で帰った私の目の中に飛び込んできたのは、自分の車のバンパーに黄色い鎖がぶら下がっている光景であった......... ウッソォー・・・マッジー...??? |
次回は津山へ宇田川榕庵を尋ねますよ〜
いや〜津山洋学資料館がなかなかいいとこなんですよ!